「美式天然」がトリノ映画祭グランプリ受賞

eigadojo2005-11-25

9年がかりで完成した日本の自主制作映画が、イタリアの第23回トリノ映画祭でグランプリを受賞した。受賞作は坪川拓史監督(33)の「美式天然(うつくしきてんねん)」(95分)。脚本に納得した吉田日出子小松政夫常田富士男ら芸達者がスケジュールの空きを使って協力した。

新人発掘の場とされるコンペ部門で、14本の出品作からスロベニア人監督と同時受賞した。

作品は今年夏に完成。地方都市の古びた映画館を舞台に、昭和初期と現代の二つの物語が1本の無声映画とフィルム運びの少年を軸に展開する。故郷、北海道長万部町にあった古い映画館「長万部劇場」の取り壊しが制作の動機だった。

96年秋に制作入り。資金不足で撮影に6年、編集などに3年近くかかった。「ムーミンパパの声」で知られた主演の高木均は04年2月、完成を待たず78歳で亡くなった。

「高木さんには新宿で偶然道を聞かれ、その場で出演を頼んだ。電話で交わした最後の言葉は『早くしないと、おれ死んじゃうぞ』でした」

19日の授賞式。映画祭会場となったホールも偶然、解体直前だった。坪川さんは「この劇場が私を呼び寄せてくれたのでしょう」とステージにキスをし、喝采を浴びた。

日本への帰途、パリに立ち寄った坪川さんは「出演料なしで協力してくれた俳優さんたちに、少し恩返しができました」と喜びを語った。

日本では青森市などで小さな試写会はあったが、劇場公開は未定だ。
asahi.com

映画っていろんな作り方があっていい。
こういう時間をかけた映画の作り方があったっていいじゃない。
高木均さんの励ましの言葉は泣けるなー。


http://tennen-movie.net/