容疑者 室井慎次

eigadojo2005-08-27

こんな映画を観た。


交渉人真下正義」に続く「踊る大捜査線」の番外編。
今回の主役は、いつも苦虫を噛みつぶした表情の室井(柳葉敏郎)。
ドラマは新宿管内で起きた殺人事件を発端に警視庁と警察庁の権力闘争の代理戦争として意外な展開をみせてゆく・・・・・・。


今回は、シリーズの脚本を担当してきた君塚良一が監督&脚本を担当しているため、これまでの「踊る」とはかなり違ったテイストになっております。
室井を主役にした時点でこれまでのような「軽さ」は望めなかったとしても、「踊る」のファンたちが観たかったものはこういうものではなかったような気がします。
ドラマとしては、「交渉人」よりは多少内容はあるものの、あきらかにテンポが悪く、見終わった後のカタルシスがまったくないのは、「娯楽映画」としてどうかなぁ・・・・・・。


思うに、君塚氏の今作での狙いは、「踊る」のテレビシリーズが当初描いていた「権力」(警察組織)への大いなる不信感なのではないだろうか?
「警察」も組織である以上、民間の会社のような出世競争や派閥争いがあるという視点が、「踊る」テレビシリーズのユニークな点でした。
70年代のニューシネマに大いに影響を受けた君塚が、「反権力」をユーモアという切り口で再構成したのが、「踊る」テレビ版だったのです。
ところが、映画版になってからは、警察側をヒーロー的に描くことを要請されるようになり、君塚氏としては納得いかないストーリーを書かされていたのだろうと推測されます。
多分、この路線変更は、プロデューサーの亀山千広の考えです。
世の中の保守化を見越して、作品の路線変更を行ったのです。
師範代が「踊る2」に対して違和感を持ったのは、それが原因でした。
同じ理由でそれはヒットにもつながったのですが・・・・・・・。


師範代が観たかった「容疑者 室井慎次」。
ようするにハリソン・フォードの「逃亡者」でよかったと思うのです。


権力闘争の罠にはめられる室井。
護送中に脱走。
追いつめる側の刑事が哀川翔
無実をはらすために真犯人を捜す室井。
室井を影となり助ける湾岸署の人々。
最後の最後に真犯人を捕まえ無実をはらす室井。
大団円!


余談!
容疑者 室井慎次」の中で「踊る」ファンが嬉しいのは、間違いなく湾岸署スリー・アミーゴスが登場するシーンです。
ここだけいつもの「踊る大捜査線」の軽さが蘇ってきます。
セリフの中でのみの登場ですが、映画の中の世界では、故いかりや長介演じる和久さんは元気でいるらしいのです。
「踊る」ファンのためのサービスシーンです。


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