熱いオッサンたち

eigadojo2005-07-31

映画やドラマにおけるキャスティングというのは、「興行」や「視聴率」という名目の元にどんどん変えられてしまうというのが悲しい実情です。
特に日本のエンターテイメント業界では、「演技力」と「人気」は必ずしも比例しないので、本当はAさんがやるべき役が、本来のイメージとは違うBさんになってしまうというのは、よくあることです。


亡国のイージス」のいそかぜ先任伍長・仙石恒史役も、ほんとうは真田広之ではスマートすぎるキャラなのです。
真田広之では、アクションをこなせてあたりまえという雰囲気があって、どうもドキドキ感に欠けてしまう。(今回真田は、あえてアクションのキレを封じて、ドンくさく仙石を演じており、それはそれで好感は持てましたが・・・・・・)
本来なら仙石伍長は、大地康雄あたりの無骨な中年男がやるべきだと思うのです。
オッサン臭ムンムンのたたき上げが、テロリストから東京を救うところに面白さがある訳ですから・・・・・・。
でも大地さん主演の「亡国のイージス」では興行的に厳しい・・・・・・・ということで製作者たちは、「真田さんがドンくさく演じる仙石」という妥協点を見出すに至る・・・・と師範代は予想します。


思えば、昭和の日本映画には、かっこいいオッサンがたくさん出ておりました。
岡本喜八映画「独立愚連隊」シリーズのオッサンたち。
深作欣二映画「仁義なき戦い」シリーズのオッサンたち。
もちろん黒澤映画に出演する三船敏郎をはじめとする濃くて熱いオッサンたちも忘れられません。
思えば日本映画の黄金期は、熱いオッサンたちに支えられていたのです。
「オッサン万歳!」であります。
「ビバ!オッサン!」であります。
梶尾真治氏の最新作「波に座る男たち」も、「ビバ!オッサン!」な痛快娯楽作品です。
出てくるキャラが濃い!熱い!
上記の映画が好きな人は是非ご一読ください。


写真は、「日本で最も地平線の似合う俳優」こと佐藤充さん。
岡本喜八映画の常連俳優です。