行定勲監督「春の雪」発表

豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)

 三島由紀夫の遺作「豊饒の海」の第1巻「春の雪」(新潮社)が行定勲監督(36)のメガホンで映画化されることが3日、分かった。主演は妻夫木聡(24)で竹内結子(24)と映画初共演となる。大正時代初期の貴族社会で起きる純愛、悲恋を描く。撮影監督にはウォン・カーワイ監督の「花様年華」を担当したリー・ピンピン氏(50)が務めるなど、国内外から注目を集める作品となりそうだ。今秋、東宝系で公開。
 「豊饒の海」4部作の第1巻「春の雪」は1965年、三島由紀夫が亡くなる5年前の40歳時に発表された。平安期の古典「浜松中納言物語」を下敷きにした夢と転生の物語で、大正の貴族社会の抑圧の中で激しく生きた若い男女の恋愛、悲恋ロマンスが描かれる。
 三島作品の映画化は日本では「鹿鳴館」(市川崑監督、86年)以来、19年ぶり。「春の雪」は海外多数の国で翻訳され、「MISHIMA」映画化で総指揮の経験もあるフランシス・フォード・コッポラ監督、「覇王別姫―さらばわが愛」のチェン・カイコー監督など世界的な巨匠も映画化を希望していた。しかし三島サイドに「邦画で作ってほしい」の意向があった。
 この大作を手掛けるのが興収85億円を記録した「世界の中心で、愛をさけぶ」、ヒット中の「北の零年」を撮った“若き巨匠”行定勲監督。近年の活躍には目覚ましいものがあるが「今まで自分が撮ってきた映画の中でもっとも困難なものだと思う」と率直にコメントしている。
 主人公の侯爵家の跡継ぎ、松枝清顕(まつがえきよあき)には「69 sixtynine」で昨年、報知映画賞主演男優賞を受賞した妻夫木聡。ヒロイン侯爵家の令嬢、綾倉聡子を「黄泉がえり」「いま、会いにゆきます」で“純愛映画ヒットの請負人”竹内結子。邦画界を担う2人の若手俳優が三島作品の世界をどう演じるのか注目される。
 妻夫木と行定監督は「きょうのできごと」などで一緒に仕事をしている。大役が決まり「劇中のセリフに『楽しい時間は過ぎるのが早い』とあるように何物にも替えがたい、その一瞬、一瞬を大切に描いていけたら」がいまの心境という。
 撮影のリー・ピンピン氏の起用は行定監督が熱望。台湾映画「戯夢人生」では侯孝賢(ホウ・シャオシエン)監督とも組んだ名カメラマンで、独特の映像美にも関心が集まりそう。
 行定監督は「貴族社会の怠惰な部分と禁を犯すスリリングさのコントラスト。恋愛成就のよろこびとその中で引き裂かれていく悲劇をきっちり描き出したい」と考えている。今月下旬から2か月かけて撮影を行い、8月完成予定で秋に公開される。
(スポーツ報知)

すでに先日の日記で思わせぶりな記述をしてまして(id:eigadojo:20050223)、申し訳なかったですが、いよいよ情報解禁です。
三島の原作を映画化という話題もすごいけど、撮影のリー・ピンピンの起用も注目です。篠田カメラマン亡き後
新しいコンビの誕生か?