チルソクの夏

at 2003 08/03 03:43

こんな映画を観た。

下関と釜山を舞台にした淡い恋物語。日韓の陸上大会で出会った高校生のラブストーリー、高校のいわば「玄界灘ロミオとジュリエット」であります。「チルソク」とは「七夕」の意味。

東映の「陽はまた昇る」で昨年デビューした佐々部清監督の2本目の作品。
1作目でもそうでしたが、佐々部監督は、ベタな題材をキチンと「映画」にできる監督さんです。抑制の効いた描写の中にキラリとひかる「真実の瞬間」を切り取れる演出家です。

現代を「モノクロ」で過去を「カラー」で撮るというやり方は、まさに「初恋のきた道」。同じく70年代を生きた師範代としても泣ける描写が続出だ(山口百恵ピンクレディー、ツイスト!!)

佐々部監督の自分の生まれ故郷・下関を舞台にしただけあって風景の切り取りかたも実にこまやか!
陸上部の選手たちが、付け焼き刃でない「動き」をするところもえらい!手の振り、足の上げかたなどホンモノの動きです。ちゃんと練習した証拠にかなり出演者が日焼けしています。
こういう当たり前のことをやっていない日本映画が多すぎる中でキチンと仕事している演技陣やスタッフは賞賛に値します。

各地に誕生したフィルム・コミッションの働きも大きいのでしょうが、昨年の「なごり雪」(大分県)「白い船」(島根県)など「ご当地映画」なのに面白く感動的な映画が次々と作られていくのは実に嬉しいものです。

30代以上の人は必見!
20代の人にも観てほしい傑作です。