ラバーズ・キス

こんな映画を観た。

東京地区では、毎年ほとんど星の数ほど映画が公開される訳ですが、そのすべてをフォローするのは、いかに師範代と言えども無理な相談です。そんな時、知り合いのH氏が、「ラヴァーズ・キス」という映画のチケットをくれました。漫画の映画化ということ以外、まったく予備知識なしに劇場に出かけた師範代だったのですが・・・・・。これが「大当たり!」の映画でした。

舞台は鎌倉。老舗料亭の長女・里伽子(平山綾)は心に傷をかかえた高校3年生。ある夜、浜でダイビングをしていた朋章(成宮寛貴)と出会います。病院の息子で遊びまわっているという噂の朋章の意外な一面を知ってしまった里伽子。やがて恋愛の歯車は、里伽子の親友・美樹(市川実日子)や妹・依里子(宮崎あおい)などまわりの人間も巻き込みながら大きく動き出します。

ストーリーだけを語ると「よくある少女漫画じゃん!」と言われてしまいそうですが、さすが漫画界のトップランナー吉田秋生の原作です。この後、映画は、それぞれの登場人物の視点から同じ物語を語りなおしてゆくのです。つまり、里伽子の目から観た世界、朋章の目から観た世界、美樹から観た世界、依里子から観た世界などなど。ストーリーの影にかくされた様々な秘密があきらかになってゆくさまは、まるで完成度の高いミステリー小説を読んでいるような面白さです。クエンティン・タランティーノ監督が「パルプ・フィクション」や「ジャッキー・ブラウン」で試みた手法を恋愛映画というフォーマットで語るという超難易度の高い技!
この映画のすごさは、それだけではありません。キャスティングがいい!おそらく今の日本で「青春映画」をつくるならば、欠かせないであろう若手実力派女優3人の共演が実現。平山綾は「ウォーター・ボーイズ」の大ヒットが記憶に新しいですし、市川実日子は昨年「blue」でモスクワ国際映画祭・最優秀主演女優賞を受賞。宮崎あおいに至っては、あの若さで「EUREKA(ユリイカ)」「害虫」と連続して海外の映画祭で受賞する天才女優です。(宮崎あおいのすばらしさについては、あちこちで発言している師範代ですが、これまでの作品の公開規模が小さいこともあって、日本国内では過小評価されているのがとても残念!)
キャスティングのすばらしさは、男優陣にも言えることです。この作品は、「あの女優や男優は『ラヴァーズ・キス』で共演してたんだよねぇ。すごいね!よくそろえたねぇ。」と今後、伝説的に語られることになることでしょう。
もらったチケットに感謝です!こういう出会いがあるから映画は面白い!

映画「ラバーズ・キス」の公式ウェブサイト
http://www.lovers-kiss.net/