「ロード・オブ・ザ・リング」3部作に関するちょっといい話

at 2003 02/17 17:51

二つの塔」を観て、全世界の映画ファン、原作ファンが喜んでおりますが、今回の3部作に関するちょっといい話があります。ピージャクことピーター・ジャクソン監督が語る映画化への道のり。これがまた映画みたいな話なので、以下少し長いですが「eiga.com」(http://www.eiga.com)から引用します。


 そもそもピージャクが原作「指輪物語」を読んだのは、17、18歳の頃だった。

ラルフ・バクシのアニメ版を見たら、すっかり混乱しちゃってね。だってあれ、途中で終わってるだろ。続きはどうなんだと読んでみたら、すっかり夢中さ。この作品の完全な映画版が見たくてたまらなかったよ」

 しかし、そのときは「自分でやりたい」とは思わなかったという。

 そんな彼の頭に再びこの作品が浮かび上がったのは、「さまよう魂たち」を製作中のこと。念願の企画「キング・コング」が座礁に乗り上げ、情熱を傾けられる作品を探していたときだった。「いまならできる、と急に思いついたんだ。ほかには誰もやってくれそうにないし」と彼。思いついたら止まらない。映画化権を持っていたアニメ版の製作者、ソウル・ゼインツを説得し、「乙女の祈り」の製作会社ミラマックスに掛け合った。

 「ミラマックスとは2本の映画として作るってことで話がまとまり、1年半の間、準備を進めていた。脚本を書きながら、自分の特撮スタジオ、WETAのクリエーターたちとデザインやクリーチャー製作をしていたんだ。ところが、そうするうちに予算が見積もり以上にかかるってことが判明してね」

 そうなれば、ミラマックスは親会社のディズニーにお伺いを立てなければならない。結果はノー(ディズニーはかつて『指輪物語』をアニメ化しようとして挫折したことがある)。ミラマックスはピージャクに、なんとか1本で収めるように要請してきたのだった。

「でも1本じゃ、満足いくクオリティが保てるわけないよね。それに観客に対して『1作目が成功したら、続きを見せます』と言うのはフェアじゃないと思った。それで、ほかのスタジオに売り込むことにしたんだ」

 ミラマックスにもらった猶予は4週間。これを過ぎれば企画はほかの監督の手に渡ってしまう。ピージャクは焦った。何社目かの交渉相手、ニューラインの会議室でも、必死だった。デザインやミニチュア、ビデオを見せながら、彼が25分のプレゼンを終えたとき、ボスのロバート・シェイはこう言った。「なぜ2本なんだい?」ああ、わかってもらえなかった、またダメだ、とガッカリするピージャク。だが、シェイの言葉は終わっていなかった。さらにこう言われたのだ。「どうして3本にしないのかな。原作は3部作だろう」。

 こうして彼と仲間たちの旅に、ついにゴーサインが出されたのだ。

「ハリウッドのスタジオが、僕の監督する3つの映画にまとめてポンと融資するなんて、まずあり得ない話だよね。それが起こったってことが、僕にはうれしいんだ。とはいってもニューラインは独立系スタジオなんだよ。ハリウッドっていうのはもう企業としてなりたっているから、安全なものにしか手を出さない。スタジオを牛耳っているのはフィルムメーカーではなく、企業のビジネスマンだからさ。でもニューラインは、映画に情熱を持った会社なんだ。僕が3本にできるとわかって、ますます燃えたのは言うまでもないよね」