リリィシュシュのすべて

リリイ・シュシュのすべて 特別版 [DVD]
こんな映画を観た。
「ラブレター」「スワロウテイル」の岩井俊二の最新作。
ウェブサイト上でのBBS発言を、映画の原作として取り込みながら、新しい物語をつくるという岩井流の実験的な作品。
劇中に登場する書き込みは、実際に一般人が書き込んだものを使用している。
基本的にビデオ撮り、さらにはホームビデオの映像も交えているので、映像は美しくはない。このざらついた映像で、少年の心の闇を描いたつもりなのだろうが・・・・・・。14歳の中学生の心の痛み、闇、を描きだしてゆくというまでには至っていない。
「優等生が頭だけで作った作品」という気がした。
同じテーマを扱った「ユリイカ」もそうだが、「現代の無垢な魂の叫びに気がついている俺って鋭いでしょ!」
それが言いたいがために作られている映画という気がした。テーマそのものより「自分」なのだ彼らは!
ネットを使った製作の手法は面白いと思うが、この題材は他人からの借り物でなく、「現代」を作者がどうとらえているかという根源的な問いから生まれるべき作品だろう!
逃げていると思う。