仮面ライダー響鬼の事情

「仮面ライダー響鬼」の事情―ドキュメント、ヒーローはどう“設定”されたのか
こんな本を読んだ。


ドラマ、特に特撮やアニメなどは、番組がスタートする前に企画を十分に煮詰めておかないと世界観が統一できないという不具合が生じることになります。
この本の著者・片岡力氏は、もともと特撮系のライターだったのだが、東映のプロデューサーに請われて、新作特撮ドラマの企画会議に参加することになります。
当初このドラマは、「変身忍者・嵐」のリメイクとして企画されたものだったのですが、紆余曲折を経て「仮面ライダー響鬼」として結実することになります。


今回、東映から出版に関する協力を得られなかったとのことで、図版の類は一切載っていません。(著者は、『もう私は東映では仕事できないだろう』とまで書いています。)それを差し引いても、かなり面白い本!
ひとつのドラマがどのような会議を経て実現していったか・・・・・・という通常は絶対に表に出ない(出せない?)部分が詳細に描写されています。


仮面ライダーを支援する組織(ドラマでは『猛士』という集団)を、全国チェーンのコンビニに設定して、全国を妖怪退治のために巡回するライダーを支援するという案などは、かなり魅力的なものでした。(現実のコンビニとタイアップしたら、虚実を越えた面白いドラマになったでしょう。)


このように実際は採用されなかったいろんな「幻の企画」が数多く掲載されています。
特撮に興味がない人も、どのような考え方で「ものづくり」が行われるのかを知るには、かなりオススメの1冊です。


「エイガドージョー・ドットコム」推薦図書に認定!