父親たちの星条旗

eigadojo2006-10-28

こんな映画を観た。

クリント・イーストウッド監督の「硫黄島2部作」の1作目。
第2次大戦の日本軍とアメリカ軍の激戦がおこなわれた硫黄島が舞台。




以下、映画の内容に触れてますので、未見の方は覚悟してください。





アメリカが戦費が足りず国債を大量に発効するため、国威発揚の「イメージ」として担ぎ出されたのが、硫黄島星条旗を掲げた戦士たち。
彼らのアメリカでのクレイジーな「英雄興行」の旅とフラッシュバックする「硫黄島の戦場」。
このあたりの構成は、さすがポール・ハギスって感じです。
観客は、英雄として祭り上げられた戦士たちが、戦場でいったい何を見たのかを追体験させられることになります。
だんだんと謎が解けてゆく構成は、ちょっと探偵小説風でもあります。


さすがに演出が老練なイーストウッドです。
声高な反戦映画にせず、あくまで淡々と戦士の姿を描写することで、観客をグッと映画の世界に引き込んでゆきます。
星条旗を掲げる真っ白なケーキに真っ赤なストロベリーソースがかけられるワンカットで戦士の苦悩を表した描写など、あくまで映画的に映像で戦争を語ってゆくイーストウッド節が満載です。
戦場の描写では、敵兵(日本兵)の姿は、ほとんど描かれることなく、バタバタと死んでゆくアメリカ兵の姿が克明に描写されます。
スピルバーグの「プライベート・ライアン」で始まった戦場体験型の映画は、この映画でひとつの完成形を見たと言えるかもしれません。

どんな映画でも現在の世界情勢とリンクして作られる訳で、この映画もいまの世界情勢と無関係ではありません。
政治信条的には、「右派」であるはずのイーストウッドまでも、戦争で兵士を利用する国への不信感を描いた映画を作るってことは、ブッシュ政権もかなり危うい感じがします。


11月3日からは、日本語吹き替え版も公開されるらしいので、細部を確認するためにももう一度観てみたいです。
もちろん12月9日からの日本からみた戦争「硫黄島からの手紙」も必見です。


劇場でおっさんばっかりだったのが気になりました。
おまえら!こういう骨のある映画をもっと観ろよ!

日本版公式サイト↓
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/

アメリカ版公式サイト↓
http://www.flagsofourfathers.com/