ヒストリー・オブ・バイオレンス

eigadojo2006-03-18

こんな映画を観た。

スキャナーズ」で出会って以来ずっと追いかけている作家であるデビッド・クローネンバーグ監督の最新作。
ここ数作は、あまりに「あっちの世界」へ行ってしまった感があって一般的理解が及ばない孤高の作家というイメージがありましたが、今回の作品は、グラフィック・ノベルに題材を求めただけあって、わかりやすい切り口になっています。


現代劇ですが、一種の「西部劇」とも言えるストーリーです。
過去に「闇」を持つ男は、平凡な暮らしに満足しているが、ある日自分の店を襲った暴漢を撃退したことで、もう一度「闇」の世界と向き合うことになる・・・・・・・。
イーストウッドの「許されざる者」ととても物語構造が似ています。
ミュンヘン」と同じく「暴力の連鎖」が大きなテーマになっていますが、スピルバーグより人間を観る目が醒めているクローネンバーグは、「暴力が持つ闇の魅力」といったものまで描き出してゆきます。


演出も素晴らしいですが、役者がどれもいい!
主役のビィゴ・モーテンセンや敵役のウィリアム・ハートはもちろんですが、師範代的にはビィゴの妻役を演じたマリア・ベロに二重丸をあげたいです。
知的でセクシーで人間としての深みを演じられる女優さんです。「アサルト13」とはまったく違ったキャラを見事に演じておりました。
ER緊急救命室」にも出演していたそうでうが、まったくのノーチェックでした。すいません!


「クラッシュ」といい「ミュンヘン」といいこの作品といい、今映画作家は「世界に対して何かを言わなければ!」という強い使命感で映画を作っている気がします。
しっかりとしたテーマを持ちつつも「映画としての面白さ」を捨てていないのがどの作品も凄いです。
やっぱり映画は面白い!


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