作品は誰のものか?

ラヂオの時間 [DVD]
いま放送中の月9のドラマ「スローダンス」は、ヒロイン深津絵里と年下の妻夫木聡による21世紀の「ロングバケーション」として制作されています。
妻夫木が「ぴあ・フィルム・フェスティバル」入賞を目指す映画監督の卵として描かれていまして、本日の放送分でいよいよ作品が完成した訳です。
完成した瞬間、妻夫木のセリフ
「一番最初に見せたい人がいるんだ!」
深津のもとに走ってゆく妻夫木・・・・・・・・
http://wwwz.fujitv.co.jp/sd/index.html



おいおい!
ありえねー!
作品に命を掛けている監督が言うセリフか?
スタッフは、一緒に命をかけて作品を生み出したいわば「戦友」。
その「戦友」より女に先に見せたい・・・・・・・って、これはキツイ!
そんな監督は、絶対に現場を統率できません。(これは経験上言えます。)
惚れた女より作品をとるぐらいの「ダークサイド」な部分がないと映画なんてつくっちゃいけないと師範代は思う訳です。


そもそも「作品」を、監督個人のものと思っているのが、おかしい。
「映画」って共同作業なのです。
スタッフの力を最大限に引き出すのが監督の仕事。
確かに監督個人のイメージを実体化したものが作品なのですが、それは同時にスタッフみんなのものなのです。(極論すれば、作品とは、スタッフと観客を含めたすべての人のものかもしれません。だからこそ今回の「響鬼騒動」が起きたのだとも言えます。)
今回の妻夫木のようにスタッフを扱う監督には、絶対にスタッフはついていきません。
またしても、「おいおいオッサンよ、『恋愛ドラマ』にリアリティを求めるなよ・・・・」と言われてしまいそうでですが・・・・・・。



作品づくりの共同作業について描いた作品「ラヂオの時間」は、三谷幸喜の初監督映画です。
西村雅彦演じるプロデューサーは、いわば三谷の分身。
悪戦苦闘しながら番組を作り上げる姿に笑い、泣けます。
共同作業のたいへんさと素晴らしさが描かれた映画です。未見の方にはオススメ!


余談ですが、何故最近の三谷作品には、西村雅彦は出ていないのでしょう。
二人が喧嘩したという噂もありますが、最も三谷作品的キャラの西村雅彦が出ないと、どうもピリッとこないような気がします。
「THE 有頂天ホテル」にも出演者の中に入っていなかったし・・・・・・。
ちょっと寂しいね。