妖怪大戦争

eigadojo2005-08-09

こんな映画を観た。


大映を吸収した角川映画が、1968年の大映映画「妖怪大戦争」をリメイクしました。
この作品に続いて角川は来年夏に平成「ガメラ」の4作目をリリースすることが決定しています。
M&Aした会社の過去の資産を、新規ビジネスに活用するという典型的展開といえます。
今回のリメイクでは、妖怪のスペシャリストである水木しげる荒俣宏京極夏彦宮部みゆきの「プロデュースチーム『怪』」がかかわり、さらに「妖怪度」をアップしています。
監督は「殺し屋1」「熊本物語」「極道恐怖大劇場 牛頭(ごず)」の三池崇史


「妖怪」とは、日本固有の存在です。
「モンスター」とも「ゴースト」とも「ゴブリン」とも違う存在。
民衆が物語を口伝えで伝承していった時代、さまざまな人々の創作が付け加えられながら伝えられ誕生した「妖怪」は、江戸時代に全盛となります。
「妖怪」は、近代日本の成立とともに消えていったというのが民俗学的な解釈で、伝承文学が消滅し、明治において日本の近代化がすすむと「妖怪」という存在は、だんだんと忘れ去られてゆきます。
日本に暗闇がなくなってしまったということです。
そんな中で「妖怪」の復活を成功させたのが、昭和の天才漫画家・水木しげるだったのです。
今回の映画に水木色が強いのは、現代に「妖怪」を復活させるためには、それぐらい強い仕掛けが必要だったからだと思います。


前作の「妖怪大戦争」は、「西洋モンスター・ダイモンVS日本妖怪軍団」という「外国VS日本」つまり「太平洋戦争」のアナロジーとして描かれていました。
日本人の外国コンプレックスの中で、力道山が外人レスラーに勝つという「物語」が熱狂的に受け入れられたのと構造は同じです。


今回、日本妖怪の敵となるのは、外国モンスターでなく「帝都物語」でおなじみの悪役・加藤保憲
劇中で彼は「かつて日本に滅ぼされたの先住民族の恨みによる蘇った魔人」と語られます。
さらっと語られるので見逃しがちですが、これはかなりヤバイ設定です。
先住民族」とは何か?
それを滅ぼした日本、それを代表するものとは?
答えは、加藤保憲が「大怪獣ヨモツモノを着陸させた東京の場所」にあります。
あの場所はどうみても「東京都千代田区千代田1-1-1」(!)です。
そこに日本中の怨念が集まってくるという描写は、考えてみればなりスゴイ!
あの怪獣王「ゴジラ」でさえ壊さないように迂回した「東京都千代田区千代田1-1-1」をヨモツモノが占拠している「絵」は、これ以上ない過激なものなのです。
お子様映画の中にさりげなくこういうキワドイ仕掛けを入れるというのが、いかにも「三池流」です。


このような政治的なネタ以外にも、セクシー川姫(高橋真唯)、ベロベロ舐めまくりろくろ首(三輪明日美)など、小中学生男子ドキドキのサービスショット多数です。
当然、お父さんも大喜び!!
もちろん美少年好きの女子&腐女子の皆さんには、神木隆之介くんがでずっぱりですので、「隆之介萌〜え!」となること必至!