喜八監督お別れの会

19日に食道がんのため亡くなった映画監督、岡本喜八(本名・岡本喜八郎、享年81)さんのお別れの会が24日、川崎市の春秋苑でしめやかに営まれ、節目の40作目となるはずだった映画「幻燈辻馬車」に続き、新たに41作目として監督オリジナル脚本の「アンドロイド」があることが分かった。

 会場の休憩室に監督の書斎が再現されており、机の上に台本が飾られていたことから判明。関係者によると「アンドロイド」は昨年4月に「幻燈辻馬車」の撮影延期を決めたときに執筆し始めたもので、シナリオは完成していたという。

 この日は開会と同時に監督を偲ぶかのように小雨が降り始め、俳優の緒形拳(67)、女優の八千草薫(74)ら約850人の映画関係者が参列。喪主で妻のみね子さん(67)は、亡くなった日が40回目の結婚記念日だったことを明かし、「神様が最後の何カ月か2人で向き合わせてくれて新婚さんしているみたいだった。記念日まで我慢してくれたのかな」と号泣。

 祭壇には親交の深い画家、島倉二千六さん(64)に自ら依頼した故郷の鳥取・大山の水墨画風の絵が飾られ、棺の中には愛用の黒いジャンパーが納められた。旅立ちの会は25日午後1時から同所で。
(サンケイ・スポーツ)

みね子さんあっての喜八監督。
なんと泣かせるコメントじゃないですか!
喜八監督の死去に関しては、唐沢俊一さん(http://www.tobunken.com/)がいいコメントを出してました。
ちょっと長いけど以下引用します。

はっきり言えば、どこまでも情緒の国であるこの湿気った日本において、岡本喜八 のこのドライさを受けて演じられる俳優というのは、そうそういるものではない。だ から、岡本映画には、その監督のセンスとぴったりあった常連俳優たちが絶対に必要 だった。それが砂塚秀夫であり、平田昭彦であり、岸田森であり、高橋悦史であり、 中谷一郎であり、佐藤允であり、そして分身とも言える天本英世だった。

 彼らが一人欠けるたび、また老いて、現実をカリカチュアライズした漫画的動きが 出来なくなるたびに、岡本作品のセンスが、こちらに伝わりにくくなっていった。晩 年に近い作品群も、それなりに佳作ではあるものの、観ながら
「ああ、ここに岸田森がいれば、平田昭彦がいれば」
 という思いは常にあったものだ(『青葉繁れる』が私にとって印象的だったのは、 ちょっとだけ出てくる岸田森以外、常連俳優をほとんど使わずに岡本喜八イズムあふ れた作品になっていたからだった)。

 いまごろ雲の上で、彼らと再会した岡本監督は、嬉々として次の作品の企画を立て ているに違いない。それが観られると思うと、死ぬということも案外悪いことではな いかも、と考えるのである。
(裏モノ日記)