マトリックス・レボリューションズ

at 2003 11/06 01:22
マトリックス レボリューションズ 特別版〈2枚組〉 [DVD]
こんな映画を観た。


注意!ネタバレ含みます。
かなり含みますので、未見の方は読まないほうが無難なり!






1999年の1作目「マトリックス」から今年初夏に公開された2作目「マトリックス・レボリューションズ」、そして完結編として11月5日全世界同時にいままさに上映中の「マトリックス・レボリューションズ」です。

今回の作品で師範代が一番驚いたのは、ウォシャウスキー兄弟が「黒澤明」に捧げたオマージュの数々です。
これまでも押井守をはじめとする日本のアニメへの憧れは、兄弟によって多く語られていましたが、いわば「映画の王道」ともいうべき、黒澤映画へのリスペクトは、かなり意外な感じがしました。(まぁアニメと言えば、今回も『ナウシカ』のオームのくだりが、ネオのラストで再現されてましたけど・・・・・やっぱオタク)

黒澤テイストを具体的にあげると・・・・・・・

「ミフネ船長」(もちろん三船敏郎からのいただき)

「センティネルの大量攻撃を一点に集めて殲滅しようとするザイオンの防御方法」(いい城には一カ所スキがあるもんだ。そこに敵を集めて一気に勝負するby島田勘兵衛)

「雨の中でのラストバトル」(もちろん『七人の侍』最後の決戦からの引用です。)

そういう意味であのラストシーンを見ると「勝ったのは、マトリックスでもスミスでもない・・・・・・オラクル(予言者)だ!」という台詞が聞こえてきそうです。

「レボリューションズ」と複数になっていた理由は、「ネオVSスミス」の戦いと同時に、その上部構造として行われていた「システム(アーキテクト)VSオラクル」という意味だったのでしょう。(ちなみにオラクルの役者が変わったのは、2作目まで演じていたグロリア・フォスターが亡くなったから。本当のラストシーンはフォスターの姿のオラクルに戻っていないとおかしいのだけれど・・・・・・)

マトリックスVSザイオン」の戦いすらオラクルたちにとっては、予定のことだったというのは、なかなかに皮肉の効いたエンディングではあります。

しかしながら、「2作目の謎がどのように解決するか?」に大きな期待を寄せていた人たちには、失望感の大きな作品となっているのではないでしょうか?

これまでのレギュラー陣(ネオ、トリニティ、モーフィアス)は全然活躍しないし、「3作目で重要な役になるんだろう・・・・」と思って期待していたモニカ・ベルッチは、ただの「おっぱい要員」だったことが判明・・・・・(おいおい!)
「すごいカンフーを見せてくれるんだろうなぁ・・・なにせジェット・リーがやるはずだった役だからねぇ・・・・・・」と思っていたセラフは、バンバン銃を撃つ始末(おいおい!そりゃジェットも断るよ!)

まぁ、ストーリーの穴を補ってあまりある「ミフネ船長VSセンティネル軍団」のくだりではありました。あそこを観るだけでも入場料の価値は十分にあると思います。フィル・ティペット大先生は偉大でした!

もともとウォシャウスキー兄弟の持つテイストというのは、万人を楽しませるエンターテインメント作家ではありませんので、お金を出し上手なキャンペーンを張って、兄弟の個人的な思い入れで作り上げた趣味的な世界を、ここまで巨大なプロジェクトに育てたプロデューサー・ジョエル・シルバーの勝利とも言えます。
ここまで個人的な内容の作品が、ここまで大きな規模で公開される「イベント性」そのものが「マトリックス」とも言えるのです。(公開にあわせて、今レビューを書いている師範代自身も、すでに「マトリックス」に取り込まれているのですが・・・・・・・)

最後に、エンドテーマ曲が実にかっこよかった!たぶんこれから年末にテレビのBGでバンバン使われることでしょう!