座頭市

at 2003 09/06 20:12
座頭市 <北野武監督作品> [DVD]
こんな映画を観た。

北野武監督が念願していた「時代劇」に初挑戦。勝新太郎が当たり役としていた盲目の居合いの達人・市を監督自らが演じております。

「今回は義理ある人にたのまれたからやった企画」とオフィシャルには発言している北野監督ですが、三池崇史監督で準備がすすめられていた企画を、なかば横取りする形で映画化した背景には、いろんな事情があったものと推察したします。
海外の賞狙いの「DOLLS」が大コケしたために、今回だけは、「一般受けする確実にヒットする映画」を作る必要があったのでしょう。

勝新の「座頭市」や黒澤の時代劇(特に『用心棒』『椿三十郎』)を研究しつくしたような脚本の構成は、これまでイメージ中心で構成された北野映画とは、少し違っています。
先輩にオマージュを捧げつつも、CGを多用した居合い切りのシーンでは、新しいビジュアルイメージを確立!血糊をCGで表現したのは、かなり成功していたと思います。殺陣のリズムが見事!

今回、久石譲から鈴木慶一に変更された音楽が「大当たり!」です。途中の畑仕事が音楽になるという演出は、うざったかったけど、エンディングの「下駄・タップ」の不思議な高揚感には、娯楽映画として二重丸をあげちゃいます。

師範代的には、市が事件にかかわってゆく「動機」の部分が、多少弱いのでは?・・・・と感じました。(中盤の姉弟のエピソードが少々退屈だったような・・・・・・)。北野映画では、いつも主人公のモチベーションが希薄なのですが、今回は「座頭市」という物語世界の中に北野キャラを放り込んだ感じの構成なので、多少の違和感を感じてしましました。

明日、ベネチア映画祭のコンペ部門の発表が行われるらしいですが、グランプリは無理としても「監督賞」あたりは受賞するかもね・・・・・・。

幅広い年齢の観客層にもかかわらず、満足そうに劇場を出ていく人が多かったようでした。
今回の北野映画は「娯楽映画」です。