シティ・オブ・ゴッド、トーク・トゥ・ハー

シティ・オブ・ゴッド DTSスペシャルエディション (初回限定2枚組) [DVD]
トーク・トゥ・ハー スタンダード・エディション [DVD]
こんな映画を観た。
以下の文章は、雑誌「モコス」に発表したものです。


マトリックス・リローデッド」「ターミネーター3」「踊る大捜査線2」「バトルロワイヤル2」「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」と大作続編がそろい踏みで、にぎやかな夏興行の映画界ですが、師範代的な注目作はハリウッド的な超大作ではありません。今年のベスト1を争う注目作2本を観よ!
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まず、今年のアカデミー賞で監督署、脚本賞にノミネートされたスペインの鬼才ペドロ・アルモドバル監督の最新作「トーク・トゥ・ハー」。
昏睡状態になって眠り続ける二人の女性。一人はバレリーナ、一人は女闘牛士。そんな眠り続ける二人を見守る二人の男。届かないはずの男たちの言葉は、果たして彼女たちに届くのか?映画は不思議な「愛のかたち」を描きながら、やがて映画は意外な「愛の真実」を描き出してゆきます。
とにかく主演のダリオ・グランディネッティがかっこいい!一見すると、「髪の毛の寂しい単なるおっさん」なのですが、この映画は「男のかっこよさは、その容姿ではないのだ!生き方なのだ!」ということを教えてくれます。愛する人のために泣く男の優しさを是非観てほしい!
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もう1本は、ブラジル版「仁義なき戦い」とも言える衝撃の暴力映画「シティ・オブ・ゴッド」。リオデジャネイロ近郊のスラム「シティ・オブ・ゴッド」(神の町とはなんとも皮肉なネーミング!)を舞台にした少年ギャング・ムービーです。とにかく少年たちを取り巻くドラッグ、銃、貧困、暴力の物語。ブラジル本国では、300万人という未曾有の観客動員を記録。アカデミー賞カンヌ映画祭の審査員試写では、あまりの残酷描写に途中退出者が続出したほどの騒ぎとなりました。
それほど多くの血なまぐさい描写にもかかわらず、映画を最後まで観ると、妙にさわやかな感覚が残る不思議な映画でもあります。独特の熱さを表現したカメラや縦横無尽に動き回るカメラ、スタイリッシュな編集のテクニックが、血なまぐさいストーリーをじつに軽やかに「青春映画」にしているのです。(この辺りは深作版「仁義なき戦い」と共通しています。)
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今回ご紹介した2本は、いずれも夏以降に熊本公開が決定しております。ハリウッド映画ばっかり観てないで、こういう映画もみなければ「映画ファン」とは言えないぜ!サントラもオススメ!

映画「トーク・トゥ・ハー」の公式ウェブサイト
http://www.gaga.ne.jp/talktoher/

映画「シティ・オブ・ゴッド」の公式ウェブサイト
 http://www.cityofgod.jp/