キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

at 2003 03/16 03:22
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン [DVD]
こんな映画を観た。

レオナルド・ディカプリオトム・ハンクス主演、スティーブン・スピルバーグ監督という現在考えられる最高の娯楽映画スタッフが結集した作品。

この10代の伝説の詐欺師フランク・アバグネイルの物語は、当初レオの出世作ギルバート・グレイプ」のラッセ・ハルストレムにより監督される予定でしたが、ミラマックスとの契約が残っていたハルストレムが降板、偶然にもスケジュールが空いていたスピルバーグが50日余りの短期間で撮影してしまいました。(さすが早撮りの巨匠!)

とにかく全編が「軽やか」な映画。「軽い」ではなく「軽やか」なのです。「A.I.」「マイノリティ・リポート」と肩に力の入ったSF大作の後だけに、スピルバーグ組が楽しんで映画を作っている様子がうかがえます。プロフェッショナルなスタッフが、肩に力をいれず余裕たっぷりに自分の仕事を全うしている・・・・・・そんな姿がそこにあります。(こういう映画が少なくなったよなぁ!)

主演のふたり(特にレオ)がすばらしく、短いショットの積み重ねのスピルバーグ演出の中でも、きらめく表情の豊かさを見せてくれます。「ギャング・オブ・ニューヨーク」では映画自体の重たさで、日本の女性ファンが引いてしまった感がありますが、この映画のレオは、彼本来の持ち味を十分発揮して、役者として一流だということを証明してくれています。

さらに追加して言うならば、脇役陣もすばらしい。アカデミーでも助演男優賞にノミネートのクリストファー・ウォーケン(例の悲しいスマイルは健在です。)やマーチン・シーンの出しゃばらないけれど的確な演技も「大人の仕事」として記憶に残るものでした。

映画音楽家としてその輝かしいキャリアのスタートが「ジャズバンドのピアノ弾き」だったジョン・ウィリアムス。今回の音楽はSF大作のフル・オーケストラでなはなく、小編成のジャズ・スタイルが基調となっています。彼も今回の作品に「大人の仕事」をしています。特に、タイトルバックでのアニメーションとのコラボレーション素晴らしい!「映画の世界」に一気に観客を連れていってくれます。

監督になる前の若い頃、ユニバーサル・スタジオに重役のふりをして忍び込み、毎日映画の現場を勉強していたという「前科」を持つスピルバーグ。自身の若き日の姿をレオに重ねて見ていたのかもしれません。(それはちょっと美化しすぎだぞスピさん!)