CQ

CQ (ゴージャス・エディション) [DVD]
こんな映画を観た。
以下の文章は熊本のタウン誌「モコス」に掲載されたものです。

もし、あなたのオヤジが世界的な映画監督で、妹が女優兼映画監督で、いとこがアカデミー賞スターだったらどうします?そんなマンガみたいな設定がありえるのか?でも、世の中には、実際そういう人がいるんです。今回紹介する監督ローマン・コッポラがその人。

父親は、「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」の大巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督。妹は「ゴッドファーザーPART3」に出演のソフィア・コッポラ(監督デビュー作の「ヴァージン・スーサイド」もヒットさせ才色兼備を証明!旦那は「マルコビッチの穴」のスパイク・ジョーンズ)そして、いとこは「ザ・ロック」「ウインドトーカーズ」のニコラス・ケイジなのです。ななななんと濃いファミリーなんだ!!

家族と比べられるのがいやだったのか、映画界ではなく、CMやミュージックビデオの分野で活躍していたこのローマン・コッポラが、ついに映画にチャレンジしたというのが、今回の作品「CQ」です。

舞台は、1969年のフランス。アメリカ人の映画編集マン・ポールは、2001年を舞台にした近未来SF「ドラゴンフライ」の仕事をしながら、自分だけのプライベートフィルムを作っています。やがてプロデューサーと監督が喧嘩して「ドラゴンフライ」の監督をポールが引き受けることに・・・・・・・。

映画は、「ドラゴンフライ」の本編とバック・ステージを交互に描きながら進行してゆきます。さすがにCMを数多く手がけてきただけに、ローマン監督のビジュアル・センスはたいしたもの。1969年当時のファッションや風物を大胆に取り入れ、知らずに観たら「ああ60年代の映画なんだ。」と思ってしまうぐらいリアルで徹底した再現ぶり!
劇中劇の「ドラゴンフライ」は、1967年の伝説的キッチュ映画「バーバレラ」への明らかなオマージュですが、女エージェント・ドラゴンフライを演じるアンジェラ・リンドヴァルの美しさに注目!身長180センチの長身で、スーパーモデルとしても有名な彼女ですが、ドラゴンフライ役の時とオフ・ステージのヴァレンタイン役の演じわけという難しい役を軽々とこなしています。

師範代的な見所は、劇中に登場する数々のSFXシーン。CG全盛の今、あえて当時の手触りを再現するためのミニチュア特撮にこだわった映像美。1969年は「2001年宇宙の旅」が製作された年でもあるのです。ドラゴンフライが乗る宇宙船のデザインや宇宙飛行のシーンは、まさにキューブリック・タッチです。
この映画は、偉大すぎるファミリーの重圧から逃げるためにローマン監督が作り上げた「箱庭」のような気がします。「CQ」というタイトルは「SEEK YOU」の意味。この作品は、ローマン監督の「2002年自分探しの旅」なのです。

映画「CQ」の公式ウェブサイト
http://www.cq-j.com/