突入せよ! あさま山荘事件

at 2002 05/14 02:45
突入せよ!「あさま山荘」事件 [DVD]
こんな映画を観た。
1972年2月に起きた連合赤軍あさま山荘事件。その解決の指揮をとった当時の警視庁警備幕僚長・佐々淳行の原作をもとに「金融腐蝕列島・呪縛」のスタッフが作り上げた骨太のエンターテインメント。
基本的にこの作品は、「連合赤軍映画」でなく「警察映画」です。「金融腐蝕列島」の「銀行」が「警察機構」に置き換わったものと考えるとわかり易いかもしれません。
長野県警を徹底的に木偶の坊に描くことで浮き上がるコミカルなテイストがこの作品のキモ!
さらにパナソニックのハイビジョンシステム「ヴァリカム」を本格的に使用してつくられた劇場映画というポイントも見逃せません。
通常のフィルム撮影では不可能なカメラの数、それを目まぐるしく切り替えてゆく編集の妙!(今年の編集賞は上野総一で決まりです!おやびん!)
原田真人監督が頭に置いていたのは、ハリウッド製のスポーツ映画だと思われ、チームのメンバーが困難を克服して勝利を手に入れるという基本フォーマットに忠実にストーリーが展開します。(「突入」前の佐々の演説は、選手の志気を鼓舞するスポーツ映画お約束の監督の口上です。)
キャスティングでは、なんといってもあさま山荘管理人・小雀彰夫役の松尾スズキの存在感に尽きる!このキャラの不思議なリアリティは凄いです。後藤田正晴役の藤田まこともナイス!
あえて苦言を呈するとすれば、ラスト近くに登場する被害者・小雀真理子役のキャスティングでしょうか・・・・・・。この役は「まったく無名の新人」か、「ものすごく有名な役者」を使うべきだったのでは・・・・・。
チームのめざしていたゴールが、この女優では、観ている側の達成感がものすごく中途半端になってしまう。実際、師範代はこの女優のアップでがっかりした。「なーんだ○○○○じゃんかよー!」エンターテイメント作品としてこの減点はけっこう大きいと思う!
ともあれ今年の日本映画の中では「KT」とトップを争う作品であるのは確かです。
門下生諸君、劇場へ急げ!