少林サッカー

こんな映画を観た。

以下は熊本のタウン誌「モコス」に執筆したものです。

駄目なヤツらががんばる映画が好きだ!
「がんばれベアーズ」「サボテン・ブラザース」「ギャラクシー・クエスト」etc。世間から落ちこぼれたヤツらが、失敗を繰り返しながらも、力をあわせて何かに立ち向ってゆく・・・・そんな姿を観ると、師範代、泣けて泣けて・・・・・。

今回紹介する「少林サッカー」もそんな作品。少林寺拳法の達人たちが、サッカーチームを結成して、全国大会に出場してしまうという荒唐無稽なコメディ・アクション映画なのですが、映画の冒頭に登場するかつての達人たちは、今では、まったくの駄目人間。社会のアウトサイダーたちの情けない感じが、笑えて笑えて、かつ泣かせます。小学生の頃、ブルース・リー映画を観て、手製のヌンチャクを振りまわした経験のある男子諸君は、我が事のように感情移入できるはず。
「どんなに体を鍛えたって、世間をそれで渡っていけるわけじゃない。所詮、世間は冷たいのさ。誰もがブルース・リーになれるわけじゃないんだ。」(あああ、キビシー!!by財津一郎風)
しかし、しかし、しかぁぁぁし、達人たちは、あきらめないのだ!がんばるのだ!・・・・・・そんな彼らに、絶体絶命の場面で「奇跡」が起きる!「このシーンで泣かないヤツがいたら表へ出ろ!!」って感じです。

少林サッカー」の監督・脚本・主演をつとめたのは、香港映画界の喜劇王チャウ・シンチー周星馳)。彼は、香港映画の歴代興行収入ベスト10に4本もの作品をランクインさせているという香港の超大物俳優。ライバルのジャッキー・チェンが、ハリウッドで大成功を収めているここ2年の間、人気俳優の彼は沈黙を守っていました。実は、この「少林サッカー」の製作にかかりっきりだったのです。香港ならではのワイヤーを使った大掛かりなアクション・シーンに加え、この映画では、世界最高のCG技術が投入されています。
先日来日し、記者会見したシンチーは、「なぜ2年もかかったのかとよく質問されますが、これだけ複雑な内容の映画を、よく2年で完成できたと思います。他のスタッフだったら、もっと時間がかかっていたでしょう。」と自信の程を語りました。
確かに、この映画には、ハリウッド映画が失ってしまった「熱」があります。CGで俳優の動きをごまかすのでなく、最初から高度なアクションが出来る俳優を起用して、さらにCGで迫力を増すという、誰も成しえなかった映画の作り方に世界が驚いたのです。

香港映画歴代ナンバーワンの大ヒットとなったこの「少林サッカー」。いよいよ5月に日本と全米で同時に公開。なにしろ、香港ではあの「ハリーポッターと賢者の石」ですら勝てなかったオバケ映画なのです。とにかく、この「奇跡」を観よ!!そして泣け!!