RAIN

レイン デラックス版 [DVD]
こんな映画を観た。

十数年前、師範代がまだ学生だったころ、「自主製作映画」というのが、ちょっとしたブームでした。ビデオじゃないよ!8ミリフィルムの映画です。今ではデジタル・カメラでお手軽に撮影できる映像。編集なんかもパソコンで簡単にできるらしいが、当時はたった3分しか撮影できないフィルムを、切ったりつないだいりして、自分たちの「映画」を作っていたんだよねぇ。
当時、学生が作っていた映画といえば、だいたい「アクション映画」。師範代も、松田優作の一連の作品に大いに影響されて、「ハードボイルドちっく」な映画を作ったもんです。(ああ恥ずかしくも懐かしいあの時代!)
今回紹介する映画「RAIN」は、師範代に、学生監督時代を思い出させてくれるような懐かしい匂いのする傑作でした。

舞台はタイのバンコク。生まれつき耳の聞こえないコン(パワリット・モングコンビシット)。彼の本当の仕事は「殺し屋」。日々の仕事として数多くの人を殺してきたコンが、美しい少女フォン(プリムシニー・ラタナソパァー)と出会うことで、人の温かみを知るようになる。しかし、裏の社会の厳しい追っ手が・・・・・・・。

ストーリーだけを聞くと、師範代の「恥ずかしい学生映画」みたいだけど、この作品の映像がすごい!ジョン・ウーあり、タランティーノあり、リュック・ベッソンありの「カッコいい映像」がテンコ盛り。コンがターゲットを、地下鉄で狙撃するシーンなどは、セリフが一切なく、緊張感たっぷりの演出です。せつない恋のサイド・ストーリーも、涙を誘います。(そうそう、こういう映画が、作りたかったんだよ、俺たちは!!)
タイの映画だから・・・・・と思って、最初ちょっと偏見を持って観ていた自分を、大いに反省させるパワー十分の作品でした。
監督は、オキサイド・パン&ダニー・パンという兄弟監督。タイだけではなく、香港映画などにも参加してキャリアを積んできた実力派の兄弟です。最近、コーエン兄弟(「ファーゴ」「オーブラザー」)やウォシャウスキー兄弟(「バウンス」「マトリックス」)など監督ブラザーの活躍が目立っていますが、このパン兄弟は一卵性双生児。言葉がなくても、お互いが考えていることが分かるそうです。
こんなカッコいい映画を作る兄弟は、どんな顔をしているのかと思って、パンフレットを開いたら・・・・・・・・・・そこには、映画とは全然キャラの違う「メガネ兄弟」の写真が・・・・・・。
なぜか学生時代の友人を見つけたようで、嬉しかった師範代でした。