白い船

こんな映画を観た。

「だけ映画」という映画のジャンルを御存知でしょうか?知らない?無理もありません。師範代が勝手に作ったジャンルなのですから・・・・・・・・。

「だけ映画」とは、映画の全編が「○○するだけ」に終止するタイプの映画のこと。例えば、「プライベート・ライアン」は、全編これ「戦争するだけ」ですし、デビット・リンチ監督の「ストレイト・ストーリー」は、リチャード・ファーンズワース扮するおじいさんが、仲たがいした兄弟に合うために時速8キロ小さなトラクターで旅をするという「旅するだけ」の映画でした。この「だけ映画」というジャンル、シンプルだからこそ本物の感動を与えてくれる気がします。
そして、ここにもまた1本、「だけ映画」が出現。全編島根県でロケされた感動エンターテインメント「白い船」です。

白い船」は実話を基にしたお話。島根県平田市の小さな小さな小学校・塩津小学校が舞台。授業中に窓の外を見ていた少年・好平は、沖合いに光るものを見つけます。それは見逃してしまいそうな小さな光でしたが、新潟と博多を結ぶフェリー「れいんぼうらぶ」でした。塩津小の子供たちと「れいんぼうらぶ」クルーとの文通がスタートします。この「白い船」との交流を通して、塩津小の子供たち、父母、教師たちにも小さな変化が起きてゆきます。そしてクライマックス、子供たちは「白い船」に乗ることになるのですが・・・・・・・。

子供たちの表情がとてもいい映画です。好平のじいちゃんに中村嘉葎雄、ひいじいちゃんに大滝秀治(セリフが極端に少ない役ですが、いい味出してます!)という名優を揃え、海の男たちの「絆」を描くというストーリーのバックグラウンドもおろそかにしていないというところもポイント高し。角松敏生の音楽もいいんだなぁ!
試写が終わった後、錦織良成監督に話を聴きました。監督も舞台となった島根県の出身。
「いやー、子供たちが船に乗って手を振る・・・・ただ『それだけ』の映画なんですけどね。島根の海っていいんですよ。その美しさをこの映画を観て感じてくれたら嬉しいなぁ。」
実にいい笑顔で錦織監督は語ってくれました。かっこいいぜ!錦織監督!!

 この「白い船」という映画。恋愛もないし、アクションもないし、派手などんでん返しもありません。でもクライマックスの「白い船」のシーンは実に感動的。また1本「だけ映画」の傑作が誕生しました。5月に島根県で先行ロードショー。初夏全国公開予定です。