PLANET OF THE APES 猿の惑星

PLANET OF THE APES/猿の惑星 [DVD]
at 2001 07/21 02:24
こんな映画を観た。

この夏日米同時公開となるティム・バートン監督最新作。
1968年の「猿の惑星」から30年以上、プロデュースは前作と同じリチャード・D・ザナック
「リメイクではなく、リ・イマジネーション」が合い言葉。

2029年、宇宙船オベロン号で宇宙探査を行っているパイロット・レオは、偵察艇の事故で見知らぬ惑星に漂着。だがそこは「猿の惑星」だった・・・・・。







これ以降はネタバレあります。ご注意下さい。







7月19日(木)、日本で初めて行われた試写会に潜入してまいりました。
エドウッド」「シザーハンズ」を愛する師範代としては、これは見逃せない作品です。

映画を見終わっての感想は、映画の内容とあまり関係なくこういうものでした。
「日本では評価の低い黒澤明晩年の作品は、ハリウッドの映画作家に途方もない影響を与えているなぁ・・・・。」

スターウォーズ・エピソード1」のグンガン対ロボット兵士の合戦シーンが、黒澤の「乱」へのオマージュということは、日本人ならすぐわかります。
今回の「猿」も、猿の着ている衣装がもろに日本の鎧、しかも「乱」に登場する鎧とそっくりです。猿の世界に伝えられている様々な伝説の文様・意匠も、基本的には「影武者」「乱」のイメージです。
ただし、この映画の猿が、東洋人への蔑視の視点で描かれているかというと、さにあらず。(ピエール・ブールの原作は、そういう視点が強いらしい)
ティム・ロス演じるセード将軍なんか、凶暴な悪役ですが、かなりかっこよく描かれています。

英語圏の映画としては、当時全米で大ヒットした「乱」を、ジョージ・ルーカスティム・バートンも必ず観ているはずで、あの色彩、デザイン感覚に感動したはずです。
日本人には、さほどインパクトがなかった鎧かぶとや騎馬武者のシーンが、壮大なファンタジーとして、彼らには受け入れられたのではと想像されます。
しかも「影武者」や「乱」で黒澤は、ハリウッドの大作映画では決して扱えないような「人間への不信感」「世の無常感」などかなりダークなテーマを扱っているのです。ティム・バートンが嫌いなはずがありません。

結論、「PLANET OF THE APES 猿の惑星」は、ティム・バートン版サムライムービーである。外国人の視点で日本映画を見直してみよう!

えっ?ストーリーはどうだったか?
「リ・イマジネーション」と言う前に、脚本しっかりしろよ!
師範代のエンディングのほうが、なんぼかまし、「ドラえもん」を毎年観てる日本人をなめるなよ!!

と言うわけで、今回の作品は、撮影、美術、音楽(オリジナルへのリスペクトが感じられるダニーエルフマン最高!)を楽しみましょう!!