千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠し (通常版) [DVD]
at 2001 07/20 01:41

こんな映画を観た。

スタジオジブリの最新作。引退を撤回した宮崎駿監督の日本を舞台にしたファンタジー。今回は、上下へ移動する描写が多く、映画的興奮に満ちた画面設計になってます。

引っ越しの途中で千尋の一家は、不思議な国に迷い込んでしまいます。
両親は豚に変えられ、千尋も名前を奪われ「千」に・・・・・。
10歳の少女は、名前を取り戻し、元の世界に帰還できるのか・・・・・。







これ以降ネタバレありです。ご注意下さい。







今回は、「もののけ姫」で描こうとして失敗したテーマへのリターンマッチです。「もののけ姫」の失敗は、事態の解決を人間でなく「シシ神」にゆだねてしまったこと。今回の主役、千尋は自分の置かれた状況と健気に闘います。

映画の大きなテーマは「善と悪」という概念へ対する疑問です。西洋的、キリスト教的には、「善と悪」は対立する両極のもの。しかし、この映画は、そういう考え方に意義を唱えています。
「人間世界は、そんな単純なものじゃない!人の中には正邪両方がいる。」
それを具現化したキャラクターが、「湯婆婆」と「カオナシ」。特に「カオナシ」は、我々現代人そのものと言っていいキャラです。悲しくも恐ろしい・・・・。

この映画を、分かりやすく言えば、それは「反ディズニー的コンセプト映画」ということです。ディズニー資本も入っているにもかかわらず「反ディズニー」。これは妖怪版「ふしぎの国のアリス」なのです。

クライマックスが案外あっさりしている印象をうけるのも、安易なハリウッド的な解決を望まなかった宮崎の「決意」ととるべきでしょう。
残念ながら「クレしん」を越えるまでには至りませんでしたが、根性の入った1作です。